エストニア タリンで公立病院に行く 

日本から海外に生活の拠点を移す際、気になる人が多いであろう渡航先の医療事情。エストニアの医療事情はおおむね良好ですが、ヨーロッパの他の国と同じように公立病院は微妙という人も少なくないようです。どんな感じか一度自分で見てみたいなぁと思っていたのですが、先日、首都タリンに引っ越してきて5か月目にして初めてタリンの公立病院に行く機会がありました。

と言っても、怪我や病気ではなく検診目的での受診です。私の入っているプライベート保険は検診は対象外なので、自費での診療でした。

英語が話せるスタッフがあまりいない、設備が古い、やたら待たされる等あまり良い評判を聞かないヨーロッパの公立病院ですが、今回の検診に関していえば何も問題なく診察・検査を受けることができました。

病院選びと予約するまで

外国で病院に行く場合、まず問題になるのはコミュニケーションです。私たちの場合、夫婦ともにエストニア語、ロシア語ができないため、まずは英語で受診できる病院を探さなければいけません。

エストニアは英語で授業を行っている医学部があるという話を聞いたことがあり、英語で診察できる医師は日本よりずっと多いようです。でも、ロシア語しか話せない医師にあたったという話も人づてに聞いたことがあったので、外国からエストニアに医療を受けにくる人に向けのサイト 「Medicine Estonia」(ウェブサイトはこちら)に掲載されている病院から選ぶことにしました。

エストニアの医療レベルは最先端医療とまではいかないものの安定しており、ヨーロッパの中では医療費が比較的安いこともあってメディカルツーリズムで訪れる外国人もいるようですね。

 

もう一点病院選びの際に確認したことは、コストがどれくらいかかるのかです。

公的病院は基本的に医療行為の価格が定められていて行く前に調べることができますが、プライベートクリニックの場合自由診療となるので病院によって価格が異なります。何か所か調べてみたところ、医師の診察料(初診)が公立病院の場合50ユーロ、プライベートクリニックの多くは80ユーロ~100ユーロほどでした。検査料がこれと別にかかるので(それもおそらくプライベートクリニックの方が高い)、最終的な支払額はプライベートクリニックを選ぶとかなり高くなりそうです・・・。

 

そんな感じで今回は、英語が通じそうでコストもあまりかからなさそうな公立の総合病院「イーストタリンセントラルホスピタル」に行くことに決めました。旧市街を出てすぐ南東側にあるので、アクセスが良いのも魅力です。

予約から受診までの流れ

受診できるまですごーーく待たされると噂の公立病院。受付の人が英語を話せるか不安だったので、まずはメールをしてみたところ、「電話で予約して下さい」というお返事が返ってきました。

さっそく電話をかけてみたところ、やっぱり電話に出た女性英語が話せず・・・。でも、タリンではだいたいどこの施設・オフィスでもそうであるように、「だいたいどこでも誰か一人は英語が話せる人がいる」ので、少し待った後他の英語が話せるスタッフに電話をかわってもらえて、無事に予約をすることができました。

今回はだいたい10日後くらいには予約を入れられたので、そんなに悪くないなと思ったのですが、診療科にもよるでしょうし、何かすでに症状がある場合には何日間も待つのは辛いかもしれませんね。もちろん本当に緊急事態であれば即救急車で運んで診てもらえますが、公立病院の場合、少し体調が変という程度だと即日の診察は難しいらしいです。

診察前日になると、携帯にSMSでエストニア語で予約内容確認と担当医師名が届きました。このシステムいいなと思ったんですが、単に予約から受診日まで長くなってしまうと予約を忘れちゃう人がいるからかもしれませんね・・。

受診当日~エストニアのICTを使った医療情報共有~

さて受診当日、夫の分も予約してあったので二人で病院に向かいました。

病院は当然公立なので豪華さはないのですが、古いながらも清潔かつシンプルな作りで、全く問題ありませんでした。プライベートクリニックはホテルみたいなところも多いらしいので、それと比較したら質素ですが、日本の公立病院と似たような雰囲気です。

到着したら受付の女性にSMSで届いた予約確認画面とエストニアIDカードを見せて、診察に来たことを伝えると英語で対応してくれました。診察料は最初に支払いますが、クレジットカードか現金かで選べます。どの検査を行うかは医師との問診後に決めるので、この時点ではまだ検査料は払いませんでした。

受付で診察室番号を教えてもらったら、診察室前に移動し、5分ほどですぐ中に通されました。

担当はとても流暢に英語を話す30代くらいの女性のお医者さん。診察室でも私のIDカードを確認した後、問診をテキパキ進めながら電子カルテに既往歴や家族歴などを打ち込んでいきます。エストニアはIDカードの個人番号と医療情報が紐づけられているので、これから先私が他の病院で検査や治療を受けた場合、今回診察した医師が書類などを用意しなくても、新しく担当する医師に全ての情報が伝わることになります。

この仕組みは患者さんにとって非常に有益だなと思いました。

例えば日本では、救急の治療を受ける病院(数日~数週間)で治療を受けた後、他の病院に転院してフォローアップの治療やリハビリテーション等を受ける場合、救急で担当した医療従事者と転院後の病院の医療従事者の間で、既往歴や合併症等の情報が十分に共有できず、結果として転院後の病院で十分に患者の状態に配慮した治療や看護計画、リハビリテーションができていないという課題があります。

このような課題は、このようなICTを活用した情報共有の仕組みでかなり解決できます。ここで、従来通り医療従事者が紙の申し送り書をたくさん書いて、外部からの問い合わせにも随時対応して、近隣の医療従事者といつでもコミュニケーションを気軽にとれる関係を築くために地域の医療機関が集まる勉強会を時々行う・・・というような施設間情報共有のための努力を促すと、もともと忙しい医療従事者の負担がさらに高くなります。それよりもIDの使用で患者の情報にすぐアクセスできるという方がシンプルで医療従事者の負担が少なくていいんじゃないかなぁと思いました。

エストニアはこの仕組みを他の国にも拡大していく方針があるそうで、数年先には例えばエストニア人がフランスで事故にあって救急で運ばれて意識がない状態でも、ID番号でその患者の既往歴や薬のアレルギー情報等が担当医に伝わるようにするみたいですね。

一連の問診が終わった後、触診をはじめとした医師が直接行う検査がそのまま診察室でありました。血液検査など検体を他にまわして分析してもらうような検査は、日本の病院と同じで医師に書いてもらった書類を持って他の部屋に移動することになります。

診察・検査が終わった後に、まだ支払っていなかった検査費用のお会計をもう一度受付で済ませて帰りましたが、この時には最初にいた英語を話せる女性が帰宅してしまっていたので、受付の方々は誰も英語が話せず・・・。支払いをしただけなので特に問題ありませんでしたが、このあたりはもしかしたらプライベートクリニックだと受付の人も英語が喋れたりするのかもしれないですね。

数か月この国にいてわかったのは、若い人はほとんど英語が話せますが、年配の人(40歳~)は英語が話せない人も少なくないことです。


こんな感じで、ちょっと緊張しながら行ったエストニア初の病院体験でしたが、概ねスムーズにいきました。

また入院となると、医師以外の医療スタッフがどれくらい英語ができるか等気になる点が増えそうですが、外来診療なら公立病院でもそんなに問題ない印象でしたね。

数か月以内には歯科検診にも行きたいなと思っているので、次はタリンの英語診療可能な歯科を探そうと思っています。

以上、エストニア タリンで公立病院に行った日の日記でした!入院する事態になりたくありませんが、エストニアの入院診療がどんな感じなのかにも興味が出てきた一日でした。

 

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