学費・生活費の安さが魅力の留学先としてのエストニア

先日日本人の学生さんのエストニア大学進学相談に同行する機会がありました。

私自身、日本の大学にも海外の大学院にも通いましたが、この機会にエストニアって留学先としてけっこういいんじゃないかと気づかされました。自分が若い時には、この国の存在を知らなかったので候補にしませんでしたが・・。


ヨーロッパはイギリスを除いて言語の問題もあり、留学先候補となることはそれほど多くないかもしれませんが、ヨーロッパの教育機関には1つ大きな特徴があります。それは学費の安さです(イギリス除く)。

あえて私が言及するまでもなく、日本の大学の学費の高さは有名です。国公立でも初年度は60万~100万円かかりますし、私立の場合は基本100万円以上するでしょう。私立の医学部なんて医師の給与を考えても、コスパに疑問をおぼえるような数千万円の費用がかかります。

海外に目を向けても、英語で学べる留学先として名前が知られている国の学費は非常に高いことが多いです。例えばアメリカ。現地の学生であっても、日本のように長期にわたる借金を負ってしまうことが問題になっています。オーストラリアやニュージーランドの場合、現地学生の学費と比較し、留学生の学費は非常に高く設定されており、学部によっては留学生は一年で数百万以上の費用がかかります。

しかし、ヨーロッパは学費が日本人の感覚からするとびっくりするくらい学費が安いことが多いんですね。

先日、夫と少子化の話、からの、教育費の話をしていて、日本は教育費が高いのも子供産むことに躊躇する人が多い一因かもという話をすると、

「たしかにね。フランスでも、~校とか~校は学費が高くてさ、なんと年間日本円で100万円以上するんだよ!国民は怒ってるよ!」

「え?それで高いの?日本だとわりと普通だよ・・・。じゃあ”学費の高くない”フランスの大学は学費いくらくらいなの?」

「国公立はもちろん無料だよ。留学生も無料だよ。」

と、当然のことのように言われて、びっくりしましたが、ヨーロッパでは学費が留学生でも格安だったり、無料だったりすることがあるんですね。

といっても、英語圏の学校じゃないと言語の問題があるじゃないか、と思うのですが、フランスはともかく、他の国は公用語が英語でなくても授業は英語で行われているコースが意外とあるんです。

では、エストニアはどうなんでしょう。英語で学べる大学はどれくらいあるのでしょうか。

エストニアの大学

エストニアの大学は人口が少ないこともありそれほど多くありません。

総合大学として首都タリンにタリン大学、タリン工科大学、タリンからバスで約二時間半のエストニア第二の都市タルトゥにタルトゥ大学、エストニアライフサイエンス大学があります。また、特定の分野に特化した教育機関としては、タリンにエストニア音楽アカデミー、エストニア芸術アカデミー、エストニアビジネススクール、エストニア応用科学大学があります。最後の二つ以外は全て公立大学です。

また、大学院博士課程がないため、「大学」にはカテゴライズされないそうなのですが、ユーロアカデミーという大学の学士・修士課程に相当する教育を行う私立校がタリンにあります。

エストニアで英語で学べる大学とその学費

さて上記のエストニアの大学で、2017年2月現在、学士課程では123コースが英語で行われています。修士過程が138、博士課程は98です。修士・博士課程などは留学生であっても学費が完全に無料だったりします。ただし、学士課程の学費は無料ではありません。

そのごく一部を学士課程に絞ってざっとみてみると・・・

タリン大学 法学(4352€/年)、リベラルアーツ(3300€/年)

タルトゥ大学 医学(22000€/年)
※授業は英語ですが、在学中に臨床で会話が成り立つレベルのエストニア語の習得が必要とされます。

エストニアライフサイエンス大学 獣医学 (未定)

タリン工科大学 サイバーセキュリティエンジニアリング (4800€/年)

ユーロアカデミー ビジネスマネージメント(2940€/年)

エストニア応用科学大学 スタートアップと起業 (4000€/年)

エストニアビジネススクール インターナショナルビジネスアドミニストレーション (4080€/年)

エストニア音楽アカデミー アコーディオン(550€/年)

エストニアアートアカデミー 学士課程は英語コースがありません

なお、エストニアの大学学士課程は通常3年間(医学部・獣医学部などは6年間)で卒業するので、卒業までにかかる学費のおおまかな額は年額に3をかけます。

フランスのように学費が国公立だと留学生でも無料である国はヨーロッパにはけっこうあるので、このエストニアの年間の学費3000~5000€(35万~65万)は高いと言えるのかもしれませんが、フランス語、ドイツ語などを大学の授業についていけるレベルまで習得するのはかなり大変です。このあたりの言語の難しさは文法も発音も英語の比ではありません。

この学費で、「英語で」授業が受けられるところにエストニア留学のメリットがあるのではないでしょうか。

エストニアの生活費

上記のように学費が日本よりかなり安いことがわかりますが、生活費が低く抑えられることもエストニア留学の魅力です。

英語圏の都市部の生活費は日本の2倍、3倍に及ぶこともあります。例えばシドニーだと、私がいた時は円が弱かったせいもありますが、シェアハウスに住んでも東京でワンルームマンションを借りるくらい家賃を払わなければいけませんでしたし、卵1パックが600円くらいしました。外食なんてランチで1500円、2000円は普通の値段です。

エストニアはこの点、かなりの強みがあります。

まず、住居費。ワンルームなら光熱費込で月400ユーロ以下にできます。学生寮のシェアルーム場合月100ユーロ前後という破格の部屋もあるようです。

そして交通費ですが、タリンの場合、滞在許可を取得し、住所登録を済ませた場合市内公共交通が無料になります。

食費・生活費必需品の値段ですが、生活必需品は日本と同じくらいしますが、食材は比較的安く、卵一パックは2ユーロ以下、パンも袋づめのものなら1ユーロしません。

外食費も平日のランチなら3ユーロ前後におさえることができます。

こんな感じで全体的に見ると、ざっくり言って東京の半額くらいに生活費をおさえられると思います。

 

エストニアで何を学ぶのか

このように穴場感があるな~と思うエストニア留学ですが、でもエストニアで何を学ぶの?という疑問はあるかもしれません。「この国で(or から)日本人があえて学ぶことなんてあるんですか?」と尋ねる、正直少し傲慢だなと感じる日本人にも何度か会ったことがあります。

たしかにエストニアには、アメリカ、イギリス、オーストラリア、シンガポールや他の北欧諸国等と比較し、コースレベルではエストニアライフサイエンス大学の農学・林学分野がQS World University Rankings by Subject (2015)で比較的上位になっているものの、世界大学ランキングの常連となるような大学はありません。

しかし、多くの大学ランキングは研究機関としての大学の強さが強く反映されていることが多いです。特に学士課程での留学では全員が研究者になりたいわけでもないはずなので、大学を将来国際的に専門職として働くための専門的なスキルを身につける場であるととらえた場合、エストニアの各コースの魅力もあるのではないでしょうか。

たとえば、エストニアが国策として力を入れているITやICTのコース。エストニアのICT分野の研究者は日本の省庁に招聘されて講演やシンポジウムを行うくらいで、この分野はまさに「エストニアの強み」の分野と言えます。NATOのサイバーテロ防衛機関があるのもエストニアです。

IT技術者はエストニアをはじめとしたヨーロッパで就職する場合、在宅で働けることも多く、専門分野があると、給与水準が比較的低い国でも日本と同じかそれ以上稼いでいる人も少なくありません。また、起業をする人が多い分野でもあり、起業家支援の取り組みも多く行われています。


エストニアの大学の概要は上記のような感じなのですが、まとめるとエストニア留学には以下のようなメリットがあります。

・英語で受けられるコースが多い

・学費が日本の大学より安い

・生活費は日本や他のヨーロッパ諸国より安い

・テロのリスクを含め、治安がアメリカ、イギリス、オーストラリア、フランス等より良い

実際の学校の雰囲気もなかなか素敵だったので、次回、今回見学に行ってきたタリン大学とユーロアカデミーについて書きます!

 

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