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→2016年4月投稿。2016年12月タリンに越してから二個目の物件への引っ越しを控えて、以前の記事の下に「タリンの各地区の特徴」加筆しました。
今週からタリンで住む物件探しをしていますが、初めて行く街で家さがしをする時に最初に困るのが、どのエリアがどんなところなのか全くわからないということ。
観光で行く場合には、基本的に中世風の街並みで有名な旧市街をみてまわることになるので、エリア情報は必要ではないと思うのですが、ある程度の期間住むとなると、交通の便や治安などの各エリアの情報が重要になってきます。
少しずつ下調べを進めてはいますが、日本語の情報があまりないんですね。英語版のウィキには少し詳しいエリア情報(地区情報)がありました。
エストニアの首都タリンの地区区分
エストニアの首都タリンには8つの地区があります。2のKesklinn、ケスクリンと読みますがこれが中心部。エストニア語でCity Centerという意味です。世界遺産のタリン歴史地区、いわゆる旧市街はここにあります。
ただし不動産サイトでは、旧市街は別にVanalinnという名前で別の地区として扱われているので注意して下さい。行政区分上はKesklinnに含まれますが、便宜上はわけられているためです。
District | Area | Population |
---|---|---|
1. Haabersti | 18.6 km2 (7.2 sq mi) | 42,839 |
2. Kesklinn (centre) | 28.0 km2 (10.8 sq mi) | 52,820 |
3. Kristiine | 9.4 km2 (3.6 sq mi) | 30,274 |
4. Lasnamäe | 30.0 km2 (11.6 sq mi) | 116,490 |
5. Mustamäe | 8.0 km2 (3.1 sq mi) | 64,425 |
6. Nõmme | 28.0 km2 (10.8 sq mi) | 39,049 |
7. Pirita | 18.7 km2 (7.2 sq mi) | 17,019 |
8. Põhja-Tallinn | 17.3 km2 (6.7 sq mi) | 56,914 |
引用:Wikipedia(2016年4月)
さて、エストニア系とロシア系がほとんどを占めるエストニアの住民ですが、それぞれの地区で住民の構成割合が違います。
例えば現時点のロシア系住民の割合は、Kesklinnでは約20%ですが、もっとも人口が多いエリアのLasnamäeでは約60%となっています。エストニアではエストニア語が公用語ですが、ロシア語も幅広く使われているので、ロシア系住民が多いエリアでは、よりロシア語を耳にすることが多いです。売っている食材も多少異なってきます。
以前海外に住んだ時は、アジア系の住民が多いところに住んだほうが、日本食材を含むアジア系の調味料が手に入りやすいというメリットがあったのですが、ざっと見たところタリンではそのような地域が見当たりませんね。
なかなかこの地域がいい、というのはわかりませんが、まずは中心部にアクセスしやすそうな地域の物件からチェックしてみようと思います。
タリンの各地区の特徴
Kesklinn(ケスクリン)
タリンの中心地です。大きく分けて旧市街、新市街、カドリオルグの3つのエリアに分けられます。
旧市街はタリンで一番有名な観光名所、世界遺産の中世の街並みが城壁に囲まれたエリアです。日本大使館等、各国の大使館のほとんどはここにあります。フォトジェニックな石造りの家が多く内装も温かみのある物件が多いのですが、観光客でいつも賑わっていますし、道が石畳なので歩きづらいかもしれません。
新市街は高いビルが立ち並ぶビジネス・ホテル・ショッピングモール街です。地下駐車場と最新のエレベーターがついた新築~築浅の背の高いマンションが多く、日本の住居に近い雰囲気の物件が多いエリアです。物件の外観・内装はコンクリ・ガラスを多く使った、スタイリッシュではありますが、逆に言えば日本の賃貸のような若干無機質な感じがします。
エストニアの他の都市や、他の国にバスで行く人にとって大事なタリン長距離バスターミナルはこのエリアの端っこに位置します。また北側部分はバルト海に面しており、フィンランドへ行くフェリーのターミナルがあります。
下の写真だと手前のヨーロッパらしいオレンジ色の屋根が並ぶエリアが旧市街、奥のビルが多いエリアが新市街です。
そして、中心部からトラム・バスで5分~10分のカドリオルグエリア。ここはロシア皇帝の避暑地だった緑豊かで広大なカドリオルグ公園に隣接した静かな住宅街になっています。大統領官邸、そして一部の国の大使館やタリン大学もこのエリアにあります。
カドリオルグ周辺では、低層の築浅マンションに加えて、木造の2-3階建てのクラシックな家をよく目にします。このような旧市街やカドリオルグのクラシックなおうちはとても素敵なのですが、古いので基本的にエレベーターがついていないといったヨーロッパあるある的な欠点があります。
この3つのエリアはロシア系と比べてエストニア系の住民の割合が多いこと、大使館やビジネス街があるためフィンランド人をはじめとする外国人の居住者が比較的多いことが特徴です。家賃は比較的高めですが、学生さんもけっこう住んでいるので、小さなワンルームであれば安い部屋(月200€~)も見つかります。
Haabersti(ハーベスティ)
タリンの西の端一帯を占める行政区です。2回くらいしか行ったことがありません。
このエリアにある観光名所としては、タリン野外博物館やタリン動物園、ロッカ・アルマーレショッピングモールがあげられます。
住民構成はエストニア系とロシア系が半々くらいで、タリン中心部までバスで30分ほどの静かな住宅街といった感じです。家賃は安めですが、海が近いので眺望のよい物件だと少し値段が高めになるでしょう。
Kristiine(クリスティン)
タリン中心部のすぐ西側のエリアです。このエリアも中心部と同様にエストニア系住民の方がロシア系の住民より大きな割合を占めています。
特に名所はないエリアですが、中心部までのアクセスもバスで15分程度と悪くなく、大きなショッピングモールもあり、家賃もそこそこと、物件探しをするのに無難なエリアと言えます。
Lasnamäe(ラスナマエ)
タリン中心部の東側のエリアで、カドリオルグ地区に隣接しています。タリンのベッドタウンで、一番人口の多いエリアです。
このラスナマエ、特に観光名所的な建物はないのですが、すごく特徴的な景観をしています・・・こんな感じの無機質な廃墟っぽいコンクリートのビル群が立ち並ぶ「ザ・元共産圏」な風景なんです。各国からの旅行者の話によると、ポーランドやハンガリー、ルーマニア、ベラルーシやウクライナにも全く同じ景観のエリアが残されているそうです。
ラスナマエは、歴史的には旧ソ連がエストニアを占領していた時代にビルをたくさん建てて開発したエリアなんですね。そんなわけで、旧ソ連支配時代について学ぼうツアーなどではここを訪れたりもするそうです。
ここはロシア系の住民が非常に多いエリアなので、表示も聞こえてくる言葉もロシア語が多いです。
家賃は比較的安めで、建物も外観は廃墟風ながらもしっかりとコンクリでできていますし、築年数自体はタリン中心部の石造りや木造の住居よりも浅いため、内部の設備は近代的です。また、だんだんと建物の修復を進めているらしく、一部形は全く同じで外観が新築のようになったマンションが見られるようになってきています。
西側ヨーロッパ諸国では、このような景観の場所はドラッグディーラー等が暗躍する治安が悪いエリアの代表だとのことですが、ラスナマエは単に共産圏時代の建物が残っているだけで、タリンの一般的なファミリー世代と、高齢になったロシア系住民が住んでいるエリアなので、基本的に危険はありません。ただし窃盗は他のエリアより若干多いらしいので、スリの心配はあまりないですが置き引き、車上荒らしには要注意です。
ベッドタウンだけに、中心部からバスで20~30分程度、バスの本数も多くアクセス良好です。規模が大きいスーパーマーケットの数も多いです。
Mustamäe(ムスタマエ)
タリンの西側にあるベッドタウンエリアです。タリンのICTを牽引するタリン工科大学があるので学生さんが多いです。
わりと新しめの、でも量産型のあんまり特徴のない低層マンションが立ち並んでおり、学生さんが多いだけに家賃も手ごろです。タリン中心部までは20分くらいでしょうか。コスパの良い地域ではあります。
Nõmme(ノッメ)
タリンの南西部の端に位置するフォレストシティとも呼ばれる緑豊かなエリアです。住民はほとんどエストニア系でロシア系は少ないです。緑豊かな、というよりほぼ森です。
お金持ちが多いエリアらしく、家賃もけっこうします。中心部に住むより高いかもしれません・・・。街の中心部へのアクセスはそんなによくないので、車があった方が暮らしやすそうです。
他のヨーロッパの国やオセアニア等でも感じたことですが、アジア系の高所得層は中心部の高層デザイナーズマンションのできるだけ上に住むことを好む一方、欧米系の高所得層は中心部から少し離れた森やビーチに近くて広い庭がある一軒家、あるいは低層住宅を好む傾向にあるんですよね・・・。なんでなんでしょう。「生活のクォリティ」の価値観が違うんでしょうか。
Pirita(ピリタ)
タリンの東の端に位置するビーチとヨットハーバーがあるリゾート感あふれるエリアです。ここも海と森があるだけあってお金持ちエリアです。エストニアでは「ピリタ住まい」はステータスらしく、日本でいう「港区住まい」みたいな感じらしいです。欧米圏ではビーチの近くのエリアはとにかく家賃が急に上がりますね。窓から海が見えたりしたら、とたんにプラス~ユーロみたいな法則すらあります。
ピリタは新しくてデザインの素敵なマンションや一軒家がほとんどで、特に夏はフィンランドから短期滞在で来る人もいて賑わっています。ビーチのすぐ前にあるマンションもあり、バルコニーから海が眺められる作りになっています。
観光名所としてはピリタビーチの他、タリン植物園やタリンテレビ塔があります。海の見えるカフェやレストランもあり、旧市街とはまったく違った雰囲気をもったエリアです。
住民構成はエストニア系がほとんど。中心部へのアクセスは車・バスで20分程度と悪くありません。
Põhja-Tallinn(ポヒャタリン)
エストニア語で北タリンという意味のタリン北側一帯のエリアです。タリンハウスと呼ばれる、昔は漁師さんたちが住んでいたという2~3階建ての味のある木造住宅が多いです。エストニア系とロシア系の比率は半々くらい。
「ボヘミアン」な雰囲気が特徴のカラマヤ地区はこのエリアにあります。カラマヤ地区はタリンの若者に人気のエリアで、自由でおしゃれな雰囲気のカフェやセレクトショップが見つかります。他には長距離列車の発着があるバルティックステーションはこのエリアにあります。旧市街も徒歩圏内ですね。
家賃は月200ユーロに近い安い物件もあれば、アートな感じのお値段高めの物件もある混沌とした感じです。ここも海に接しているエリアですので、海が見える物件になるとやはり値段が高い傾向ですね。
グラフィティや、廃線になった線路の上に突然現れるカフェ、倉庫を改造したカフェなど個性的で楽しいエリアですが、夜は暗くて人通りの少ない道も多いので飲みに行ったりするなら複数がいいかもしれないです。
私たちは現在、今後数年間は住むことを前提に、二度目の引っ越し先探しをしていますが、夫が築浅の高いビル好き、私が開放感のある自然の近くの低層住宅好きと夫婦で好みが全くあいません。
ブルゴーニュ出身と東京出身という違いが、これまでないタイプの住宅を求めて、お互い異なるタイプの物件を欲っする結果となっているようです・・・。
妥協点を模索して来年頭くらいまでには引っ越し先を決めたいものです!